「家電の主役」テレビの落日 電機各社、事業見直しへ
パナソニックは不振が続くテレビ事業を縮小する。最新鋭の国内プラズマパネル工場を停止し、1000人規模で人員を削減する。急速に進む低価格化や円高が重荷になり、超高精細画質などの高付加価値路線も収益に結びつかなかった。テレビ用パネルに巨額投資を続けてきたシャープやソニーなども事業の見直しを急ぐ。テレビは長年続いた「家電の主役」の座から降りる。
31日にテレビ事業の再建策を発表する。
(1)2010年に稼働した尼崎第3工場(兵庫県尼崎市)のプラズマパネル生産を今期中に停止
(2)液晶パネル生産の茂原工場(千葉県茂原市)を売却
(3)50型以上の大型テレビを商品構成の中心に据える――ことが柱。
プラズマと液晶パネルの工場を減損処理し、今期に約1200億円の損失を計上。最終損益が赤字に転落する見通しだ。
■「数つくれば…」
「圧倒的な生産規模とコスト力で、世界における薄型大画面市場をリードします」。07年1月。尼崎第3工場建設を発表した資料には、力強い文言が刻まれていた。それから4年余り。テレビ事業は11年3月期で3期連続の赤字となった。
積極投資を決断した大坪文雄社長は「数をつくれば絶対にいけるという信念でやってきたが、外部環境が許さなかった」と振り返る。
最大の誤算は消費者の嗜好をくみ取れなかったことだ。自社でパネル生産から組み立てまで手掛ける「垂直統合モデル」を生かして、先端技術をテレビに投入。3D(3次元)や超高画質の製品を繰り出した。
しかしデジタル化で各社の製品の差は急速に縮む。「テレビがコモディティー(汎用品)化した」(幹部)。中堅企業でも安いパネルを調達し、大手と遜色のないテレビをつくることが可能だ。
さらにパネルの供給過剰で価格下落が加速。売れ筋の32型テレビは店頭で3万円前後まで下がった。新興国市場が急成長していた07年とは海外の環境も一変。最近の円高が追い打ちをかけた。
他社も資産を身軽にし、外部調達や海外生産を増やす構造転換を急ぐ。00年前後から各社は大型の液晶パネルに1000億円単位で投資し、テレビ事業での覇を競った。市場は急拡大したものの、巨額投資は勝者を生まなかった。
■韓国も液晶離れ
シェア上位の韓国勢ですら液晶事業を見直す。韓国・LGディスプレーの丁豪栄(チョン・ホヨン)最高財務責任者(CFO)は20日、テレビ用大型液晶パネルの投資について「来年上半期まで。下半期には止める」と表明した。
テレビ用の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)事業に投資を集中し、今年の設備投資額も当初予定の5兆ウォン(約3350億円)台から4兆ウォン程度まで減額する。
シャープの片山幹雄社長は「赤字の市場では戦わない」として、値下がりが激しい20~40型パネルを大幅に縮小する。ソニーは外部への生産委託を拡大し、日立製作所もテレビの自社生産からほぼ撤退した。
20日の東京株式市場でパナソニックの株価は乱高下し、前日比8円(1.07%)高で取引を終えた。パナソニック幹部は「もうテレビ単体での事業展開は限界」とこぼす。テレビとネットや他の家電との連携などを探る。「問題はこれからの成長戦略。売上高をどう増やすかという具体策が不可欠」(SMBC日興証券の三浦和晴シニアアナリスト)との見方も多い。(日経新聞)
基本、液晶テレビで儲けてる家電メーカーはこの地球上に存在しないわな。とにかく新製品出した瞬間、値崩れだから。出しても出しても下落。元が取れなくなってる。1台売ったら、どんだけ赤字みたいな。パナソニックだけじゃなく、日立や他数社も撤退表明するのも時間の問題じゃない?ところがソニーは先日、液晶テレビから撤退するつもりはないと明言。関係はないと思うが、ムーディーズの現在A3の格付けを下げる方向で検討してると云う。携帯電話のソニーエリクソンの株を全部買い取って、子会社にするって方向らしい。もう家電業界は統廃合以外、手はないと思うよ.....。


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