白旗揚げた日本のテレビメーカー
最も有名な日本のテレビメーカーのうち2社が台湾と韓国の競合メーカーとの戦いで降伏の白旗を揚げた。
アナログ時代の大半にわたり、そのテレビが世界中のリビングルームを席巻したソニーとパナソニックは、デジタル薄型テレビの時代にはライバルに太刀打ちできなかったと認め、業務を大幅に縮小しようとしている。
ソニーは11月2日、2009年に設定したばかりの野心的な目標を放棄し、液晶テレビの中期販売目標を年間2000万台に半減させると発表した。
これに先立つ10月31日には、パナソニックがフラットパネルの生産を年間720万台までほぼ半減させ、国内の生産ラインを統合もしくは廃止すると発表している。
ソニーのトリニトロンに愛着を抱いていたブラウン管時代の消費者にとっては、今回の退却は郷愁に満ちた悲嘆を生むかもしれない。だが、投資家は、なぜもっと早くテレビ事業を縮小しなかったのか、そして、今回の措置でソニーとパナソニックが再び家電で儲けられるようになるのかどうか問う可能性の方が高い。
日本企業は10年以上前に他社に先駆け薄型プラズマやLCDの技術を開発した。だが、生産コストの高さが最近の記録的な円高と相まって、薄型テレビが高級品から主流製品になるのに伴い、日本勢は脱落してしまった。現在、世界で最も多くテレビを販売しているのは韓国のサムスンとLGだ。
ソニーとパナソニックは、多くのアナリストが投資は無駄だと警告してからもずっと、テレビ事業に新たな資金を投入していた。両社は今、過剰投資のツケを払っている。
過剰投資のツケ
パナソニックは今年、工場と設備の償却費用を含め、テレビ事業で2650億円のリストラ費用を計上する見込み。それに加えて半導体事業の再編もあり、同社は4200億円の最終赤字に転落する見通しだ。
8年間テレビ事業が赤字だったソニーは今年、500億円のリストラ費用を計上する見込みだ。ソニーは既に、例えば、スロバキアやメキシコの工場を台湾の請負メーカー、鴻海精密工業に売却するといった方法で、自社生産から徐々に手を引き始めていた。2014年3月期に同社が販売を目指していたテレビ 4000万台のうち、自社生産する予定になっていたのは半分程度だった。
他の日本企業も、テレビ事業への取り組みを見直している。日立製作所は今年7月、生産をすべて外部委託することを検討していると述べた。日本市場における液晶テレビの最大手、シャープでさえ、国内生産能力の一部をスマートフォンやタブレット型コンピューター向けの小型パネルの生産に切り替えようとしている。
円高よりも小売価格下落が打撃
日本の家電メーカーが抱えるテレビの問題は今年、供給が急増し続ける一方で、世界経済の減速によって需要が減少したことで危機に発展した。多くの日本メーカーは、生産コストを下げてくれる販売数量増加に利益への期待をかけていた。だが、小売価格は日本メーカーのコストよりも急ピッチに下落した。
実際、今は、値下がりの影響の方が円高の影響より大きくなっている。パナソニックは9月までの半年間で、為替レートの変動による損失よりも値下がりによる営業利益の喪失の方が6倍も大きかったと話す。ソニーの家電部門は、ドルベースの調達コストが低下したおかげで、直近の四半期は実際には為替差益 で儲けを出していた。
ソニーとパナソニックは量を求めることを放棄したため、残りの事業を黒字にするのは恐らく今よりもっと難しくなるだろう。両社が少なくとも一部の製品を国内で自社生産することを誓っているとあっては、なおのことだ。
多くのアナリストや投資家は、アップルが「iPhone(アイフォーン)」やパソコンでやっているように、両社も生産をすべて外部委託し、マーケ ティングと設計に注力する方がいいと思っている。そうすれば、汎用品と化していない利益率の高い製品に経営資源を移すことができるからだ。ソニーとパナソ ニックの株価は発表を受けて急落した。
弱り目に祟り目
確かなことは、テレビにまつわる今回のドラマが日本のハイテク業界にとって困難な時期に起きたことだ。円相場は輸出の重荷になったままで、製造業者はまだ3月の震災と津波の影響を払拭しようとしている。
製造業者は、国内の何百もの部品工場と組立工場の本拠地となっている、洪水被害を受けたタイでも新たな問題に直面しており、その結果、コンピューターのハードディスクや半導体から家電機器に至るまで、あらゆるものが不足するという事態に陥っている。
例えば、東芝は、タイで10工場を閉鎖せざるを得なくなった。タイからの部品不足で新型カメラの発売を延期したソニーは2日、修繕費と失った売り上げで250億円の減益要因になる見込みだと述べた。(JB Press/Financial Times)
先の震災、そしてタイの洪水で日本の家電業界は踏んだり蹴ったりの一年。おまけに液晶テレビ事業は全世界的に停滞感が否めない。それに32型が3万円を割ると云う、業界にとっては目を覆いたくなる様な価格崩壊も、一向に止む雰囲気はない。上の記事にもあるが、どのメーカーの株主も「カネにならん事業はさっさと止めろ」と云ってる筈。先日のニュースでは3Dや4Kに続き「有機EL」テレビの開発の記事を読んだ。ここまで固執する理由が俺には分からん.....。
The Title Design of Saul Bass from Ian Albinson on Vimeo.

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