昨夜、DVDで『Mishima: A Life in Four Chapters』を観た。曰く付きのアメリカ映画で、1985年に公開された。既に20年が経つ。以前、アメリカでも観たが、久々に観たくなったので、買溜めしたDVDの山をほじくり返して鑑賞。監督・脚本はPaul Schrader (57)で、最近『Exorcist』の第4弾を監督して、クビになった。脚本家としては『Taxi Driver』『Raising Bull』『The Last Temptation of Christ』、そして高倉健の『The Yakuza』の脚本家で『未知との遭遇』の初稿を書いて、Spielbergにクビにされた男でもある。俺としては脚本家としては最高の部類に入るが、監督作品は全て駄作。出演は三島役に緒形拳、沢田研二、永島敏行、三上博史、元祖巨乳CMクイーン烏丸せつ子ら。製作があの自民党から製作費を借りる等、業界では有名な人物であり、糞映画『あずみ』のプロデューサーでもある山本又一朗。出演陣も山本好み。恐らく彼が30代の頃に製作した作品と思われる。カンヌでは特別芸術賞とか訳の分からん賞を受賞した。アメリカ公開の興収は45万㌦。日本円で1億円強と大失敗となった。監督のコメンタリーが非常に面白い。Francis CoppolaやGeorge Lucasが全製作費の50%に当たる250万㌦を出資、残り半分はフジテレビと東宝東和が出資したが、完成品を観た日本側は名前を出さないで欲しいと、クレジットから除外されたという。全製作費は500万㌦。当時$1が¥250以上もし、アメリカ側は15億円で製作出来た。未公開・削除シーンもある。あの笠智衆が出演していたのだ!『金閣寺』のエピソードで碁だか将棋をやっているシーンがあった。監督曰く「あまりにも長過ぎたため」と泣く泣く削除したらしい。石岡瑛子の美術が冴え渡り、個人的にもこのシーンだけは圧倒された。何か宇宙船の内部みたい。で、肝心のストーリーはと言うと、これが三島作品数本を断片的に繋げただけの凡作。三島の自決数時間前をストーリーラインのレイヤーにして、数十分おきに三島作品『金閣寺』『鏡子の家』『仮面の告白』の美味しいところを挿入するという展開。三島ファンとしては最高傑作『禁色』を入れて欲しかったが、監督のコメンタリーにもあったように、「三島の未亡人が許さなかった」ので没になったという。事実、未亡人(既に故人)が一番嫌いな三島作品が『禁色』だったらしい。しょうがないわな。旦那の男色を認めるカミさんなんかいないよな。浮気とはまた別なベクトルだしさ。俺的には『禁色』が最高傑作。コンセプトがいい。”カミさん3人に裏切られた男が、ゲイの美少年を使って復讐する”。笑えたし、展開がゾクゾクさせる。10年に一回は再読したい作品の一本。で、哀しいかな映画『Mishima』は残念ながら未だ日本公開されていない。VHSですら出ていない。理由は訊く相手にも拠るが、根本問題として未亡人というか遺族がダメ出しを出しているから。傑作じゃないけど、海外ではDVDが出ているので、輸入版販売店で買うのも良いかもよ。俺はいつの日か『禁色』を映画化したいと思ってる。勿論、邦画じゃなくてな。『Spider-Man 2』が『Spider-Man』の持つ最速記録を破る。公開8日で2億㌦(約220億円)を突破。異常です。もっと恐ろしいのは『華氏9/11』が1億㌦を突破しそうな勢い。原価数億円で製作されたドキュメンタリーが100億円の興収を上げる時代なんだな。そういやMacを食い続けるドキュメンタリー『Super Size Me』が10億円を突破。これも異常です。Disneyの『King Arthur』は玉砕。今日も”Project B”の脚本はストップ。渡米まで後、10日。マズいです。
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