Talking Anime Business Blues
「アニメを世界に発進する」と、総工費117億円をかけて国が推進してる国立メディア芸術総合センターだが、「政府はアニメ業界の地盤沈下を全く見ていない、最悪の愚策だ」との批判が噴出してる。先日、上場廃止が決定したアニメ会社GONZOでは、以前は30分のアニメ番組1話の製作費は1800万円らしいんだが、今じゃ1300万円程度なんだとか。これは俺に云わせりゃ、半分を中抜きしてる筈だから、事実上1000万円以下でやってる筈。「体力のない会社は昨年末からドンドン潰れてる」とも。「センターを作る金があれば、国家産業として育てて欲しい」と苦言を呈す。2005年から日本のアニメ産業はピークアウトした。DVD販売がのガタ落ちに加え、YouTubeの人気度が顕著になったお陰で、日本のアニメ会社は海外の販売網も現地企業から手を引き、国内再編成(倒産・合併)の兆しが日に日に顕著になってる。ある24歳の男性アニメーターは月収7万円。これは生活保護費の半分。組合の算出では20代の平均年収は110万円。離職率は8~9割で、韓国、台湾等への委託業務の加速で、国内の若手が全く育ってない「空洞化」だと云う。更に組合は「後、5~10年で日本の人材は枯渇する」と警鐘を鳴らしてるが、俺に云わせりゃ「もう終わってるだろうがよ」って感じ。組合だってあるんだかないんだか全く不明だし、ストライキすら存在しない。これからアニメーターは中国語を喋らないと無理だろうね.....。
集英社新書の「脚本家・橋本忍の世界」を読む。橋本の脚本家デビュー作はあの「羅生門」。監督・黒澤明の傑作で、黒澤本人がクロースアップされてるが、この映画は橋本が伊丹十三の父親に「君はオリジナル作品ばかりなので、原作ものを勧められたから」と云う理由で、デビュー作として芥川龍之介の短編を脚色したらしく、それが黒澤の世界に出るキッカケとなった作品だ。以降、「七人の侍」「私は貝になりたい」「八甲田山」「砂の器」「白い巨塔」等々、社会派ドラマを中心に100近い作品を残した。まだ存命でもある。本書が残念なのは、4年の執筆期間がありがら、橋本本人には10時間ほどしか取材してない点である。だから本人のコメントは余り多くない。脚本家としてのアングル、執筆テクニック、そして当時の業界の事等々、俺はもっと多角的な事を期待してたんだが、的外れな取材先をクロースアップしており、正直ガックリした。本書には書かれてないが、黒澤に唯一、ダメ出しを出せた映画人は年下の橋本だけだ。その辺の話もあったら良かったんだが、新書じゃ無理だろうね.....。
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