“経済オンチ”の菅政権が円高対策でモタついていることに業を煮やしたのか、ここへきて円高を警戒する指摘が相次いでいる。 14日、元財務官で青山学院大学教授の榊原英資氏が、円相場について「早ければ9月末までに1995年4月に付けた1ドル=79円75銭の史上最高値を更新する可能性が高い」と発言した上で、「今年から来年にかけて世界同時不況に入る可能性がかなりある」と目前に大きな経済危機が迫っていることを警告した。
「インフレ格差などの要件を考慮すると、世界的に79円75銭は実質1ドル=60円にあたります。 各国が1ドル=85円台は安すぎるとみるのもうなずけます」(経済ジャーナリストの小林佳樹氏)円高が単なる為替問題で済むならいいが、円高は日本の雇用状況を一段と悪化させることになるから見逃せないのだ。円高は、すなわち雇用問題だ。総務省が17日に発表した4—6月期平均の労働力調査によると、349万人の完全失業者のうち、失業期間1年以上の人は前年同期比21万人増の118万人にのぼり、過去2番目の高水準だった。 帝国データバンク情報部の中森貴和氏がこう説明する。「95年ころの海外生産はどこの会社でもできる汎用品が中心でした。しかし、これからは違う。心臓部にあたる部門を海外に移すことが普通に行われます。日産は主力車種のマーチをタイ工場でつくることを決めました。 これから人件費の安いタイでつくって円高の日本で売る。いわゆる“マーチ・ショック”です。会社の基幹部門が移転すれば、工場労働者だけではなくエリート社員も職を失うことになるのです」 すでに、ユニクロを展開するファーストリテイリングやローソンなどの流通、家電量販店最大手のヤマダ電機も中国に出ている。政治の無策がこのまま続けば、「超円高」の日本は失業したエリート社員や工場労働者であふれることになる。
昨年の古い記事だが、ここに再度、採録する.........。日本のアニメが世界に「売れない」。生き残りの道は。不況や市場の飽和で、日本のアニメが世界で売れなくなっている。アニメ市場縮小の時代をどう乗り切るか——テレビ東京は米国の動画投稿サイトを活用し始めた。
日本のアニメが世界で熱狂的に受け入れられる——そんな時代が、過去の物になりつつあるようだ。 「2010年以降、日本アニメの世界市場は縮小する」と、テレビ東京傘下のアニメ専門チャンネル、エー・ティー・エックス(AT-X)取締役で、テレ東アニメ事業部長の経験もある岩田圭介さんは予測する。日本アニメは世界市場ですでに「飽和状態」で、成長の余地が見えないという。世界同時不況やネットの違法配信の影響などで、北米市場は「ボロボロ」、欧州市場も厳しく、中東やアジアなど新市場も期待薄。「このままでは、日本のアニメを日本の市場だけで売る一昔前に戻るかもしれない」ほど事態は深刻だ。逆風下での生き残りをかけてテレ東は、米国の動画投稿サイトでアニメを配信するなど、新たな取り組みを進めている。 「こんなものでも買うんだ、という作品も売れていた」が…… 日本アニメの海外進出は「新世紀エヴァンゲリオン」(1996〜97年)を機に急拡大したという。それまでは「金髪のジェニー」や「ムーミン」といった、海外を舞台にした“無国籍アニメ”が受け入れられていたが、エヴァは日本のアニメとして歓迎され、市場を一気に広げた。97年ごろから「ポケットモンスター」が海外でメジャー作品化。02年には「遊戯王」がさらに市場を拡大し、日本のアニメは売り手市場に。「こんなものでも買うんだ、と思うようなアニメがセットで売れていった」。02年以降、「NARUTO」も世界的にヒットし、海外のティーンエイジャーや「OTAKU」層の心をとらえた。その後は「ケロロ軍曹」「ブルードラゴン」といったタイトルが海外展開を開始・準備しており、09年までは、NARUTOまでの作品が広げてきた海外ファンからのニーズを、複数のタイトルで支えている状況が続くと岩田さんはみる。だが市場はすでに飽和状態。「10年以降、世界市場が縮小するというシナリオが、容易に想像できる」市場の飽和に加え、世界同時不況や各国の事情、動画共有サイトの違法配信が、日本アニメ輸出に暗い影を落としている。 アニメ輸出、米国も欧州もアジアも厳しい。アニメ業界も、世界同時不況の波をかぶっている。輸出産業として円高の影響を受けている上、最大の輸出市場だった米国や欧州も不況のまっただ中だ。市場環境の厳しさに加え、米国では、地上波放送で日本アニメの視聴率が低迷。地上波放送局は、日本アニメの暴力的な内容や、グッズ販売を前提にした構成を嫌い始め、アニメへのニーズ自体が低下しているという。日本のアニメ配給を手掛けてきた米国の「4Kids TV」は、FOXテレビのアニメ枠から撤退。アニメ専門チャンネル「Cartoon Network」も一時日本アニメから全面撤退した。Cartoon Networkは、「オタク向けの『Adult Swim』(14歳以上限定)で一部復活した」が、ポケモンやNARUTOレベルのヒットは望めない状況だ。DVD市場も厳しく、「全米で400本しか売れないタイトルもあった」という。欧州も状況は厳しい。もともと自国文化の育成に力を入れている国が多く、海外アニメを放送できる枠が少ない中で、「買ったものの放送できず、手つかずのタイトルが山のように残っている。新しい物がいらない状況」。言語や文化のギャップも大きいという。成長市場として期待していたアジアや中東諸国も、不況の影響で「マーケットがひどい状態」。中東では「各国の投資庁が昨年、アニメ投資を発表していたが、頓挫している」という。さらに、違法配信サイトや動画共有サイトの台頭が、地上波テレビを中心としたアニメのビジネスモデルを破壊。「日本でアニメを放送された翌日には、現地語の字幕を付けてネットにアップされてしまう」ため、日本で放送終了した作品を海外に販売するころには、海外ファンはすでにそのアニメを見ており、視聴率が取れなくなる。「成功の方程式——テレビメディアのビジネスモデルが崩れた」
国内アニメ産業、06年をピークに縮小。国内でも、アニメが置かれた状況は厳しい。日本動画協会の発表によると、国内アニメ産業の総売上高(海外販売も含む)は06年がピークで、07年には前年を割った。「アニメ業界にはマイナス要素の方あまりにも多すぎる」と岩田さんは指摘する。マイナス要素とは、(1)地上波テレビが不況に入った(日本民間放送連盟加盟127社のうち、約4割の55社が08年9月期経常赤字に)、(2)アニメは視聴率が取れないため「キー局でゴールデンタイムに放送するのは不可能」、(3)アニメ単体でヒットする作品がない——など。アニメの制作本数も激減している。プラス要素として唯一挙げたのは、アニメを流すメディアが多様化していることだ。BSやCS、地上波デジタルなどで多チャンネル化が進んでいるほか、ネット配信や携帯電話向け配信も盛ん。「ニンテンドーDS」や「Wii」「プレイステーション 3」などゲーム機向けにもネット配信できる環境が整っている。 (※)初出時「07年をピークに減少」としておりましたが「06年をピークに減少」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。 ネット時代の新ビジネスの開拓へ。「Crunchyroll」で海外配信「危機はチャンス」——テレビ東京は今後もアニメを積極展開する方針で、ネットを活用した新たなビジネスにチャレンジしている。1月から、米国のアニメ専門動画共有サイト「Crunchyroll」で、「NARUTO」「銀魂」など「テレビ東京の最強コンテンツ」を、日本での放送の1時間後に有料配信。月額7ドルで、会員数は1万人を超えたという。日本のアニメチャンネル「AT-X」(月額1575円、4月から1890円に値上げ)の会員数は「10年かけて10万人になった」というから、1カ月弱で1万人を達成した意味は大きい。Crunchyrollを含めた3サイトで、放送の7日後に広告付き低画質版の無料配信も行っており、NARUTOの無料配信には1話平均16万アクセスあったという。海外向けネット配信の狙いは、課金や広告からの収入だけではない。日本での放送直後に字幕付きで配信することで、「日本で放送されたアニメに1番に字幕(ファンサブ)を付けてネット配信することに命を賭けている人たち」のやる気をそぎ、違法配信の抑制することも大きな目的だ。Crunchyrollには従来、権利者に無許諾のアニメも多く掲載され、問題になっていた。だが運営元の米Crunchyrollは「株主から、そろそろまっとうな企業に脱却するよう言われていた」時期。テレビ東京が合法的に人気コンテンツを提供することで、Crunchyrollが“まっとうなサイト”になる支援をしつつ、「違法行為で成長した企業がほかの違法企業を取り締まる効果も期待している」という。NARUTOなどは万単位のアクセスを集める人気作品だが、コンテンツによっては300アクセスしか集まらないものもあるという。「『1本10万円で売れました』の世界とは違い、コンテンツの力で利益が上がる」と手応えも感じている。日本では、地上波テレビのビジネスモデルがまだある程度健在とみており、国内でのアニメのネット配信には慎重だ。それでも「需給バランスは崩れ、枠が余っている。タカビーで敷居が高いテレビではやっていけない」。状況を悲観するのではなくチャンスととらえ、ほかの媒体と連携しながら新しいビジネスモデルを築いていく考えだ。講演は、デジタルハリウッド大学が1月28日に開いた「アニメ・ビジネス・フォーラム+2009」で行われた。
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