Friday, August 06, 2010

The Word at 3D Summit: SLOW DOWN!


世は3Dの勃興で、フィルムメーカーも業界人も「3Dに興味ないヤツはもう無視!」ってな感じなんだが、「ちょっと待てよ」と云いたい。数週間前、Los AngelesのCulver Cityと云うSony Picturesの本社があるとこなんだが、そこで「3Dネクスト・サミット」と云う小さなイベントのがあった。技術者やクリエーター、プロデューサー、配給関係者等が集合したが、この古くも新しい3Dと云うメディアが、「これからの映画産業発展への起爆剤となりうるのか?」と云う期待と不安に入り交じった集会となった。この集会で何度も出て来る映画のタイトルが当然の事ながら“
Avatar”。この映画は3Dにおける基軸映画となってる。業界人にとってこの映画が3Dピラミッドの最高峰となってるわけだ。3Dの「風と共に去りぬ」と云うか「七人の侍」と云うか「市民ケーン」と云うか。そしてこの集会ではその逆となる映画もある。3Dの「ドラゴンボール」と云うのか「キャシャーン」と云うかようわからんが、“Clash of the Titans”は「酷い3D映画」の代表例の様に云われていたと云う。 参加者の中には「こう云うレベルの映画が出て来ると、3D映画の将来性に水を差す可能性がある」とまで云ってる。「"Avatar"も"Clash of the Titans"も重要な映画だと思う」とは、現在、3D版の”Godzilla”を製作中のBrian Rogers氏だ。「なぜなら低水準の3D映画を作って、通常の2D映画と同じ料金を観客に請求出来ないからだ」と。パネリストの一人で、3D映画のイフェクトを担当しているParadise Effects社のBob Johnston氏は「"Clash of the Titans"は全世界で5億㌦以上を稼いでおり、既に続編も準備段階にある」と映画を擁護。一方、もう一人のパネリストでIMAX社のGreg Foster会長は「"Avatar"を3D映画の基準にすべきでない」と云う。「あの映画にはそういつも味わえない特別な隠し味がある。我々、3D映画の関係者はいつもあの映画をベンチマークとして考えてるが、それは間違いだ。"Avatar"は完全に全てにおいて別次元の映画と見るべきだ。3Dの世界は西部開拓史を想起させると云う人がいるが、私には単なるキチガイ沙汰に過ぎない」と、一蹴する。他のパネリストで立体映画専門の撮影監督Keith Colleaは「これから製作される映画は全て3Dにすべきだ」と豪語。アート映画専門の配給会社Focus Features社の副社長Ben Urquhart氏は、自分の会社のこれからの公開予定作品に3D映画は一本もないと云う。IMAXのFoster会長は「元々2Dで撮った映画を、3Dに変換するのは気をつけなければならない」と警告する。同社は“Superman Returns”や過去2本の”Harry Potter”映画等、3本の2D映画を3Dに変換した経緯がある。「関係者は細心の注意を払わなければならない。2Dから3Dに変換すると、トンでもないカネがかかる。特にキチンとやろうとすればするほど価格は上がる」と云う。これを専門にやっているPrime Focus社のRob Hummel社長は、ある映画スタジオが3D専門チャンネルを立ち上げ、スタジオが持つ映画ライブラリを片っ端から3D化しようとしたらしい。「大体、55,000㌦(約500万円)から10万㌦(900万円)する。これは映画1本の3D化の値段じゃなく、1分の3D化の値段だ」と云う。「最近、あるスタジオの重役に会い、彼は”うちにある映画を全部、3D化するのに数億円使うつもりだ”と云う。”そりゃ無理だ”と即答しといた」と振り返る。Prime Focus,社はちなみに“Clash of the Titans”の3D化に手を貸した会社でもある。「6週間半と云う無茶苦茶なスケジュールで3D化しなければならなかった。もう二度とああいう仕事はやるつもりはない」と反省してる。「クライアントにはこう云った。”ここのシーンが中途半端になってるから修正させてくれ”と。そうしたら「誰も気づかないよ」と云う訳だ」と、当時を振り返る。彼の様な話は珍しいモノではなく、TV業界の人間も番組の3D化を1分5,000㌦(約45万円)以下でやってしまおうとする輩もいるそうだ.....。正直、あの「メガネ問題」を解決せずに、3Dの一般化は有り得ないだろうね.....。


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