Tuesday, November 09, 2010

AFM Talk

映画の売り買いをやってるAmerican Film Marketが終盤にさしかかってるが、業界関係者のパネルディスカッションが何個もあり、その中で面白かったパネルを紹介する。登壇者は弁護士、配給会社社長、プロデューサーらが出席。

1. ネット配信、DVDの登場があっても、世界の映画市場で「劇場興行」は今だもって最高の収入源である事。これは事実。2009年度の全世界の映画興行の総収入は290億㌦(2兆3000億円)。同年度のDVDセールスが21%下落した為、追い越した形となった。「劇場公開に勝る興行はない」とはエンターテイメント・ビジネス調査会社Salter Groupのコメント。

2. しかし公開初日3日で数字を残さなければならないのも公然の事実。「パラシュートみたいな物だ。落下して開かなかったら、一巻の終わりだ」とは、MGMの新会長に就任予定のプロデューサーGary Barber氏。アメリカでの劇場公開の成績がマズければ、以降のDVDセールス、放映権、そして海外収益にモロに影響するからだ。

3. 3D映画は世界的ブームと云っていい。「3Dは観客を劇場に留めておく最大の手段と云っていい。自宅で「アバター」の3D体験をやろうなんて無理だ」とワインシュタイン社のHarvey Weinstein社長。同社の「ピラニア3D」は「アバター」のJames Cameronに「クソ3D映画」と酷評されるも、社長は「いい宣伝になった」と悪びれる様子もない。 

4. DVD市場がクラッシュしてしまった今、救世主となるのがRedbox、Netflix等のビデオ・オン・デマンド(VOD)だ。IFCやMagnolia社の様な新興配給会社は既にVOD市場に参入。既に2005年に3,000億円市場が昨年には6,000億円市場に膨張。Redboxは設立5年で10億枚のレンタルを記録、一方、Netflixは10年でその数字を達成した。このお陰で、ハードディスク・ドライブの終焉が始まった。

5. Harvey Weinstein社長はiPadを「私にとっては最高のポテンシャル商品だ」と絶賛。

6. Harvey Weinstein社長は地上波TVに不満がある様だ。TV番組の再放送ばかりを流し、映画の放映枠が少ない事に業を煮やしている。

7. 先日、破綻したMGMの会社更生手続きは予定通り進んでおり、Spyglass社のBarber氏はパートナーのRoger Birnbaum氏と共に新生MGMの再生計画を立案中。来月中旬には彼等の手に渡る予定だ。「MGMはこの二人に任せれば大丈夫だ」とWeinstein社長。Weinstein社は2006年から3年間、MGMの配給ラインを使って公開していたが、John Cusack主演の「1408」以外は、全てコケた。

8. 「ミニマム・ギャランティーが急落」と、世界中に映画を売りまくってるWeinstein社長は「これからは中国、インド、ロシア市場で稼がなければならない」と強調。

9. 海外販売は昨年辺りから復調の兆し、とパネリスト達は合意。しかしリーマン破綻前に戻すのはより一層の努力が必要。

10. Weinstein社の業績は上向き。社長はどう不況を凌いでいるのか手の内は明かさなかったが、昨年マスコミは同社の「墓碑銘」を書いていたくらいだ。同社の2009年度の業績は過去3年で最高益だったと云う。「ナイン」「ザ・ロード」等、合せて100億円もの赤字を記録したタイトルもあるが、昨年、同社は赤字をクリアし、英国のIcon社との新規事業提携する等、これからの同社に注目が集まる。


MTV The Supercharts from Upper First on Vimeo.

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