テレビ不況「4K」は救世主?
テレビが売れない。7月の地上デジタル放送への完全移行に伴う一斉買い替えで需要の長期低迷は避けられない。韓国メーカーとの競争でも劣勢に立たされ、生産の撤退や縮小の方針を固めたメーカーも出てきた。各社は「付加価値」の高い新製品を投入し、需要を喚起しようと躍起だ。なかでもフルハイビジョン (HD)の4倍の画像解像度を持つ「4K」テレビに“救世主”としての期待を託している。
◆祭りの後
家電量販店のテレビ売り場では、店員が手持ちぶさたで客を待っていた。整理券を配るほどだった7月の喧噪(けんそう)が嘘のようだ。「お客さまが少ないので、製品の特長を丁寧に説明できますが…」と、ある店員。祭りは終わった。
調査会社BCNによると、主要量販店の薄型テレビ販売台数は、8月が前年同月比38%減と5カ月ぶりにマイナスに転落し、9月は52%減と、平成16年の集計開始以来最大の落ち込みとなった。価格下落も激しく、9月の平均単価は29%安の5万2900円にまで落ち込んだ。
地デジ対応テレビへの買い替え特需で、昨年の国内出荷台数は前年比84%増の2519万台と過去最高を記録。今年も1〜7月で32%増の1407万台と売りまくった。それだけに反動減も大きく、「来年は年1千万台を割り込む」(アナリスト)との悲観的な見方が広がる。
「新しい提案や価値創造をしていかないと、ビジネスとしてきつくなる」 国内トップのシャープの中村恒夫執行役員は、危機感をあらわにする。
◆3Dは暴落
だが、昨年各社が相次いで発売した立体映像が楽しめる3D(3次元)テレビは、早くも賞味期限切れだ。BCNによると、3Dテレビ(40型)の平均単価 は昨年5月が26万7900円だったが、今年9月は13万300円と、半値以下に暴落している。ネットワーク機能を強化し、独自のコンテンツを配信できる 「スマートテレビ」のほか、ディスプレーの薄さやデザイン性を前面に出した新商品を売り出しているが、「需要喚起のインパクトは小さい」(業界関係者)の が実情だ。
八方塞がりのなか、今月8日まで千葉市で開かれたアジア最大級の家電見本市「CEATEC(シーテック)JAPAN」。各社は「高画質化」という原点に回帰した。
「やっぱりテレビは画質。だれが見てもきれいな映像を追求する」12月中旬に発売する55型の4Kテレビを出展した東芝の担当者は胸を張った。市場想定価格は90万円だ。
4Kは横4千×縦2千画素前後と、現行のフルハイビジョン(1920×1080画素)の4倍の解像度を誇る。同社の大角正明上席常務は「そこまで(高精細な映像が)必要かという声があるのは事実だが、夢を実現したい」と話す。
シャープもシーテックで試作品を公開し、来年度半ばの製品化を目指している。ソニーは12月下旬に世界初の家庭用4Kプロジェクターを発売。テレビも「検討していく」(平井一夫副社長)と意欲的だ。
◆鍵はコンテンツ
ただ、普及には課題が山積している。4K対応のコンテンツは現時点で、映画やインターネット用動画のごく一部に限られ、テレビ放送用の映像はない。メー カー側は「市場拡大には放送業者やネット業者との連携が必須」(大手首脳)とするが、テレビ局はやっと地デジ化を完了させたばかりで、4K化に取り組む余力はない。
究極の高画質テレビの普及には、コンテンツの充実が欠かせない。米ディスプレイサーチの鳥居寿一アナリストは「長い目で見る必要がある」と指摘する。だ が、家電各社にそれを待っている時間はない。国内の過剰プレーヤーに加え、韓国メーカーとの激しい競争で、新製品は店頭に並んだそばから値下げされる。ソニーのテレビ事業は今期で8年連続、パナソニックも4年連続の赤字となる見通しだ。
「テレビ事業を継続する意味が見いだせない」。メーカー幹部からは悲痛な声が漏れる。すでに日立製作所はテレビの自社生産から撤退する検討を進め、パナソニックも、工場売却や人員削減による大幅縮小の方針を固めたことが明らかになった。
消費者の購買意欲を刺激する起爆剤が見つけられないままでは、「看板商品」であるテレビ事業の淘汰(とうた)が加速するのは必至だ。(産經新聞)
同じ失態を何度も続ける日本の家電産業。ユーザーからは「もういい加減にしろ」「誰が買うの?」「高いから値崩れ後に買う」等、散々なコメントを聞くが、俺もハリウッドの関係者等に訊くと「興味ない」「今はHDで十分」と。まず第一に4Kを上映出来る場所が、地球規模的に少ない。日本だと都内に数カ所だけ。ようやくHDが普通に手に届く様になって数年。正直、業界人にも4Kの事まで頭が回らない。では、なぜメーカーは開発を急ぐのか?理由は簡単、各メーカーが抱えてるエンジニアを遊ばせておくわけにはいかないのだ。手を休ませた時点で、即リストラ対象になってしまう。彼らにとって「売れる、売れない」は後の話で、開発余地がある間は、ドンドン新作を出して行くわけだ。しかし、メーカーの統廃合は、もう時間の問題だろうね.....。


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