
ソニーが「テレビをやめる日」 電機復活の条件 悪循環断ち新たな映像産業へ
「疑う余地はない。彼は新しい方法でテレビ事業に参入してくる」
11月10日、ニューヨーク。ソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長は米メディア主催のイベントでこんな予想を示した。
「彼」とは10月に死去した米 アップル共同創業者のスティーブ・ジョブズ会長のこと。まだ生きているような表現に、「もう間近」といわれる“iTV”発売への警戒心が垣間見える。
■高まる危機感
アップルは携帯オーディオ端末「iPod」や、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)「iPhone」でソニーの得意領域を次々と切り崩してきた。ジョブズ氏が開発に執念を燃やしたテレビに、どんな機能が備わるのか。ソニーの危機感は高まる。
同じ11月上旬。別の形でソニーを脅かす動きがあった。IT(情報技術)業界の巨人、米グーグルのエリック・シュミット会長が韓国のハイテク企業を訪れていたのだ。
その直後、韓国サムスン電子の幹部がグーグルのOS(基本ソフト)「アンドロイド」を使ったインターネット対応テレビの開発が最終段階にあることを表明した。LG電子も同様のネットテレビを開発中といわれる。
「スマホの次は『スマートTV』ブームが来る」。グーグルでデジタル機器メーカーとの提携交渉を統括するジョン・ラーゲリン氏はこう明かす。各種デジタル機器をネットでつなぎ、動画や音楽をやりとりする基礎となるアンドロイドOSは無償。誰でも自由に使えるため、すでに全世界のスマホの過半はアンドロイドを搭載している。
実はこのOSを採用した世界初のテレビを昨年10月に発売したのはソニー。わずか1年あまりで、競合企業が次々と同じ原理のテレビを投入してくれば、ネット戦略の強化で独自色を出そうとしていたソニーの存在感はかすむ。
テレビは技術の陳腐化による値下がりが激しく、パナソニックなど多くが赤字に苦しむ。世界3位のシェアを持つソニーも2012年3月期にテレビ事業で1750億円の赤字を計上する見通し。赤字は8期連続。相次ぐリストラで優秀な人材が去り、開発力が低下する悪循環に陥っている。
SMBC日興証券の三浦和晴シニアアナリストは「ソフト面で米国から、ものづくりで韓国や台湾勢に攻められ、日本のテレビメーカーは身の置き場がなくなっている」と指摘する。
■技術力は健在
しかし日本がリードしてきた映像技術はまだ健在。従来のテレビを超える市場創出を模索する動きもある。
「この2つの映像を見比べてください」。左に通常のフルハイビジョン(HD)映像、右にフルHDを4倍の解像度に変換処理した映像。右の映像は細部の遠近感や質感も勝り、実際の目で見るような再現力だ。
開発したのは映像技術ベンチャー、アイキューブド研究所(川崎市、近藤哲二郎社長)。現実の人物や風景を見るときに得る光の特性を信号処理に組み込んで、3次元(3D)テレビを上回る自然な立体感を実現した。これに目を付けたシャープが接近し、9月に技術提携を発表した。
近藤社長はソニーのOB。平面ブラウン管テレビ「WEGA(ベガ)」の高画質化技術を開発し、大ヒット商品に育てた名物技術者だ。近藤社長は“格安テレビ ”を100円ショップの電卓に例える。「この世から消えないが、もはや日本企業はそこにお金をかけてはいられない。必死に守ろうとしたら悲惨だ」
極限までリアルな映像を表示できるディスプレーがあれば人、家、街をいたるところでつなぐ交流ツールとなる。今後、様々な業種と連携し「新しい映像産業の創出を目指す」(近藤社長)。
ソニーにも潜在力を秘めた技術は多くある。5月に発売した25型の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)モニターは240万円以上もするが映画やテレビ番組の制作現場から引き合いが強い。今後は高い画像品質が求められる医療用にも注力する考えだ。
パナソニックやシャープも屋外用や医療・教育現場向けのディスプレー事業を拡大する計画だ。テレビにとどまらないディスプレー事業の可能性はいくらでもある。
米IBMは主力事業の1つだったパソコンから撤退した。それは新たな成長領域を攻めるためだった。「テレビを売るたびに損する現状を変えなければならない」と語るストリンガー氏。新しい映像産業を興すために、電機大手がテレビから撤退するという選択が現実味を帯びる。(日経新聞)
噂では年明け2月にもアップルがテレビモニタを発売するとされてる。しかも既に大阪・堺のパナソニックのテレビ工場で生産が始まってるとも云われてる。更なる噂ではそのテレビは32㌅と50㌅等、3種発売され、iPhoneやMac製品ともリンク出来ると云う代物らしい。噂はいいとして、ソニーのテレビ製造は既に末期症状で、作れば作るほど赤字になって行くと云う悪循環。韓国製も含め、今、世界のメーカーで、テレビで黒字化してるとこは皆無と云っていい。ソニーは今月4Kを発表すると云うが、正直、厳しいよね。そう云う市場に敢えてアップルが挑むと云うのも面白いんだけどね.....。

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