原発不信の日本、地熱発電に熱視線
津波によって太平洋沿岸部の原子力発電所が損壊して以来、福島はチェルノブイリやスリーマイル島と同じくらい有名な原子力災害の代名詞になった。
■世界第3位の潜在発電能力
だが、加藤勝一氏のような人たちが思うとおりにできれば、福島という名前は将来、世界第3位の経済大国における再生可能エネルギー生産のリーダーとして、電力産業のポジティブな面を連想させるかもしれない。
静かな温泉地、土湯で復興再生協議会の会長を務める加藤氏は、日本初となる国立公園内の地熱発電所を建設する計画の陣頭指揮を執っている。 日本の温泉所有者は通常、誰よりも激しく地熱エネルギーに反対するが、土湯では逆に支持に回った。加藤氏は土湯の温泉組合の役員でもある。
このため、土湯は地熱発電のシンボルになる可能性を秘めている。日本が近年ほとんど無視してきた地熱は、専門家によれば大きな潜在能力があるエネルギー源だ。日本列島を地震と火山の脅威にさらす地質学上の特質は、発電タービンの駆動に使える莫大な量の温水ももたらす。
よく引用される試算によると、日本の地熱発電の潜在能力は2300万kWに上り、米国とインドネシアに次ぐ規模だ。だが地熱発電の設備容量は全体で55万kWにも満たず、この10年以上、新しい発電所は建設されていない。
■地熱発電で町おこし
2014年までに最初の発電機の稼働を目指す土湯は、地熱発電を受け入れるだけの理由がある。県庁所在地から16㌔離れたこの温泉地は、 昨年の災害の前から需要減退に苦しんでいた。今では、福島第一原子力発電所による汚染への不安で客足が遠のいている。短期滞在で有害と見なされるレベルをはるかに下回る放射線量にもかかわらずだ。
加藤氏は、計画中の発電所は地元の温泉協会やその他の投資家に長期的に利益をもたらすと期待する。この計画は政府の建設助成金と、小規模地熱発電所では1kW時当たり42円という、最近決まった寛大な電力固定買い取り価格の後押しを受ける。
土湯が既存の源泉から湧き出る潤沢な水に恵まれていることも大きい。水の温度はセ氏140~150度と、標準的な地熱発電所で使うにはぬるいが、水より沸点の低い液体をタービンの駆動に使う最近の「バイナリー」発電所では問題ない。
先駆者の役目を果たすことは、土湯のホテルを埋める役にも立つはずだ。「もしこれができれば、我々が地熱発電をどう利用しているのかを学ぶために日本中から訪問者が来るだろう」と加藤氏は言う。
■温泉地にくすぶる不安
土湯の地熱プロジェクトは決して日本のエネルギー問題を解決するものではない。初期段階の発電能力は500kWで、温泉地自体の電力需要の大半を満たす程度だ。
また、大規模な地熱発電所は依然として物議を醸す。今年、国立公園内で地熱発電用の垂直掘削を禁じた規制が緩和されて開発を望む業者は興奮したが、温泉業界の多くの関係者は、新たな発電所は湯脈を脅かすと語る。
産業技術総合研究所の地熱資源の専門家である安川香澄氏は、そのような問題を示す証拠はないと言う。
福島県温泉協会の会長を務める佐藤好億氏は、こうした確約を疑う。苦境にある温泉業界に地熱発電という脅威を加えなくても、津波と原発危機の問題だけで福島には十分だと佐藤氏は言う。「最も重要なのは現状を破壊しないことだ」
■機会を生かす努力を
そうした不安は理解できる。起こり得ないとされていた福島第一原発の損壊は、政府の約束には疑ってかかるべきことを強烈に印象づけた。
だが、福島も日本も現状維持で手を打つわけにはいかない。原子力が支持を失った今、ほかの電源の確保は急務だ。福島も企業の投資と税収増を大いに必要としている。
県の担当者たちは懸命な努力で反対論を押し切り、温泉事業者が地熱プロジェクトの恩恵を確実に受けるようにしつつ、水資源に悪影響が出た場合に彼らを損失から守らねばならない。
しかし土湯のプロジェクトが示すように、温泉業界の多くの人は、原子力災害が招いた問題は機会につながったことに気づいている。加藤氏が言うように「ピンチの中にもチャンスはある」。(フィナンシャル・タイムズ)
結局、原発だろうが地熱だろうが、カネになりゃ何でもいいって話だろ?

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