園子温最近作「希望の国」公開中。
──前作『ヒミズ』に続いて被災地を舞台にした最新作『希望の国』。“原発問題”というタブーに正面から挑むのと同時に、これまでの園子温作品になく邦画らしい邦画の雰囲気を持つ作品に仕上がっていますね。
園子温 ティーザーのキャッチコピーに「タブーに挑む」と入っていますが、自分としては、特にそういう意識はな かったんです。単純に自分がそのとき撮りたいと思ったものを撮っただけなんです。原発の映画を撮りたい、という率直な想いで作った作品です。原発問題を 扱ったドキュメンタリーはすでに何本かありますが、やっぱりドキュメンタリーではある種の限界があると思うんです。当事者たちをインタビューばかりしてい ても、「その話はもう聞いたよ」になっちゃう。でも、まだ劇映画は作られていない。だから作ったんです。タブーを扱った社会派ドラマを狙ったわけではない んです。
──園監督は「映画には社会を変える力がある」と信じている?
園 そう思いますね。こうやって原発を描いた作品を公開することは、決してムダなことだとは思いません。映画の 世界でしか表現できないこともあるわけですから、「こんな劇映画もあるのか」と思わせるだけでも意味があると思うんです。いろんな人たちが原発についての テーゼを語る時代なんだと知ってもらうだけでも、十分な効果があるはずです。ひとつの業界が完全に黙っていれば、「あぁ、やっぱりそういうもんだよな」と いうことになってしまう。扉が少し開くだけでも、どこかの窓をひとつ開けることにつながると思うんです。
──今回は資金集めに苦労したそうですね。
園 そうです、情けないですよね。原発を扱うということで日本だけでは製作費が集まらず、海外にも協力を求めざるを得なかった。出資した会社は「反原発」を支持するようなものですから、カドが立つということでしょうか。つまんないですよ。企画があればなんでもいいから持ってきてと言っていたプロデューサーも「いや、これだけは困る……」ということだったようです。そういう意味では、原発はエログロよりもタブーだったみたいです。でも、それは向こうが勝手に自粛してタブーにしてしまっているだけですよ。別にボクは原発をタブーだとは思わない。(終)
原発映画が当たれば、若干、投資家たちの思惑が変わるんじゃないかと思う。過去、このテーマ性の薄い日本映画にも、反原発を謡った映画はあるにはあったんだが、正直、パンチの薄い、表面的なモノばっかだった。園子温の新作「希望の国」は公開中らしいが、「予想に反して大ヒット」との報道はない。期待はしたんだが、イマイチ面白みに欠ける映画だったとか、過剰評価なだけとかと云う噂も聞かない。これも、これまでの邦画の様に、「いつの間にか製作され、いつの間にか公開され、いつの間にか消えていった一本」に過ぎないのかもしれん。数カ国の国際映画祭で賞を獲ったらしいが、何十カ国で配給権を売ったと云うニュースは全く聞いてない。そう云う意味で、東電にケンカを売る映画を製作予定だったが、先週亡くなった若松孝二の死はイタ過ぎるんだな......。

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