原子力施設の集中立地を容認した青森県は、膨大な金銭的見返りを受けてきた。東日本
<建設費の9割>
白を基調とした格調高いアートの空間。十和田市現代美術館は2008年4月の開館以来、多い日で5000人弱が訪れる県内有数の人気観光施設だ。どんな財源で整備されたかに来館者の関心は薄いが、建設費の9割を超える22億8400万円が電源3法交付金で賄われた。
市政策財政課の中野孝則課長は「交付金なしには建てられなかった施設。交付金は地域振興につながり、ありがたい財源だ」と話す。
県内への交付金の配分は1981年度に始まり、2013年度までの累計額は約2697億円に上る。寺山修司記念館(三沢市)や大山将棋記念館(おいらせ町)、夜越山スキー場(平内町)など交付金で整備された公共施設は数多い。
原子力関連の収入は、他にも県が電力会社に独自に課す核燃料税、立地に伴う固定資産税、電力会社からの寄付金など多岐に及ぶ。自治体にとって使い勝手のよい金だ。
しかし、東日本大震災後、財源を原子力マネーに過度に依存してきた自治体は、厳しい現実と向き合うことになった。
電源開発の大間原発が建設中の大間町。北海道函館市が建設差し止めを求め係争中だが、「原発がご破算になれば町財政は破綻するだろう」と岩佐育夫町企画経営課長は渋い表情を見せる。
<庁舎新築頓挫>
東京電力福島第1原発事故の影響で原発の建設は大幅に遅れ、町内の経済は大打撃を受けた。新規制基準への適合性審査(安全審査)に要する期間も不明。町は昨年3月、大間原発の稼働を前提にした財政予測の大幅な見直しを余儀なくされた。
震災前の11年2月にまとめた当初計画では、14年11月には原発が稼働し、15年度から4年間で計約140億円の固定資産税が入ると見込んだ。六ケ所村と東通村(06~09年度)に続き、県内3番目の地方交付税の不交付団体になるはずだった。
新しい予測では、前回は18年度時点で約60億円とした町の貯金「財政調整基金」が、同年度約1億7800万円と大幅に減った。長年の課題の役場庁舎、消防庁舎の新築計画も頓挫。公共事業の抑制や職員の不補充など苦しい財政運営が続く。
1930年に建てられた役場庁舎は雨漏りし、大型トラックが前を通ると小刻みに揺れる。岩佐課長は「いつか原発が完成すると思い続けるしかない」と語った。
<「市民に有用」>
県内で原子力マネーに頼らない財政運営を考える自治体はないのか。
県議時代の93年、使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)着工に抗議してハンストも経験した鹿内博青森市長は、原発再稼働には反対の立場ながら、原子力マネーのメリットに目を向ける。
「核燃、原発マネーに依存しなくても財政運営は可能だろうが、制度としてある財源を使うことは、市民にとってプラスになる」
[電源3法交付金]3法は「電源開発促進税法」「特別会計に関する法律」「発電用施設周辺地域整備法」。電気料金を基に電力各社が納める電源開発促進税が財 源。交付先は原子力関連や水力、火力発電施設の立地・周辺自治体など。2013年度の県内への交付額は約178億円。8年連続で100億円を超えた。国は原発が再稼働した自治体への交付を手厚くする方向で、制度の見直しを進めている。
大震災後、原子力を取り巻く環境は変化し、自治体財政の在り方を問う声も上がる。原発再稼働の動きが強まるが、制度や仕組みに問題はないのか。県内に根を張る「原子力マネー」について検証する。(河北新報)
もうね、原発で食ってる地域にしてみれば「ライフライン」だけど、端から見れば、単なる「毒まんじゅう」だからね。とにかく、原発立地県には「沖縄を見習え」って云いたいね。こんなもん、貰い続けてる間は、官僚のモルモットなんだから.....。

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