EXT. SHINAGAWA - NIGHT

The JR Shinagawa Station 2010 © Vermilion Editions

何を一体思ったか、数日前、面識すらない、一無名俳優にコンタクト、今日会って来た。話は20年近く前のLos Angelesに戻る。当時、この地には相当数の日本人俳優達が生息。その内の一人が日本人俳優達を毎週、日系ホテルのロビーに集め、状況報告させてる集いをやってた。まぁ端的に云うと、仕事のない俳優達とグダグダやってた訳だ。俺は役者じゃないが、集まって来る連中がかなり癖のある、奇矯なヤツらだったので時々参加してた。主催してるKと云う役者がある日、そこに来てないFと云う役者について話し始めた。「Fは今、欧州で主演映画を撮影してる。何か（欧州の）主演女優と揉めてるらしいよ」とニヤニヤしながら云ってる訳よ。女優がこの日本人俳優と寝ようとカマかけてるらしいが、この日本人は余り乗り気じゃないらしい云々と。「日本人なのに欧州映画に主演か、凄いな」と。この俳優の名前だけは記憶してた。で、何を思ったか、15年経った今頃、彼の名をネットで検索。メールを出すと数時間後に返答が来た。「品川駅前で会いましょう」と云う事になった。凄い時代だわな。ネットがあれば、こう云う出会いも可能な訳だ。早速、自己紹介し茶店の席に着く。事前調査したが、Fと云う役者は引退してるものかと思ったんだが、東京在住なんだが、活動拠点はウクライナやロシアなのだと云う。映画なのかTVなのか、それともCMなのか全く不明。興味すらなかったので、敢えて突っ込まなかった。今日は渡航ビザの関係で、品川の弁護士だかに会いに来たついでに寄ってくれたのだと。そして昔の話になった。初めて会うのにお互いの共通の知合いが少なくない事が判明。90年代初期にLos Angelesで活動してた日本人俳優達の名を羅列したら、ほとんどお互い面識があった。今日、Fをここに呼び出したのは他でもない。俺の企画の事だ。「誰でもいいから紹介しろ」と。で、どう云う内容の映画で、資金調達の事等を喋った。Fに引っかかったのが主演に予定してる高齢俳優Tの事。「悪い事は云わない。あの人は止した方がいい。電通が後にいて、企画を持って行かれて、何も残らないだろう。ランクを落としても、誰か他の役者でも映画のクオリティは落ちないのではないか？」と、どこかで聞いた様なコメント。Fとは丸3時間喋った。相当、俺も話してて楽しかったんだろう。自分の企画に関してはほどほどにし、昔のLAの話で盛り上がった。「高齢俳優は止した方がいい」「業界は不景気」の2点だけ分かれば良かった.....。