Tuesday, July 10, 2012

London Distributor Fed Up with Asian Theatrical

英国のインディーズ映画配給会社Third Window Filmsがショッキングな知らせ。「弊社は映画の劇場配給を止め、ビデオに専念する」と。理由が「日本映画”ヒミズ”の興行成績が大した事なかった」 と。同社はロンドンをベースにした弱小会社だが、他の大手が見向きもしない日本映画やアジア映画を英国の観客に紹介して来たが、ついにギブアップと。

ここの社長Adam Torel氏が云うには「ある日本映画の英国配給権を買うと、劇場公開分を含む、全権利を買って欲しいと云う。こっちはDVDとかTV放映権だけにしたいんだが、映画館でもやる事を条件にと要求して来る」。

日 本で劇場公開しても人が入らないのに、英国で入るわけがない。せっかくDVDが売れても、劇場宣伝費がその分を食尽してしまう。実際、この会社がリリース したタイトルを知ったファンは、映画館ではなく、ビデオ屋やネットで知った観客であって、劇場が重要な宣伝ファクターだったわけがない。商品が日本映画で あれば尚更の事.....。
あるウェブサイトが同社社長に「低予算映画配給ビジネスの裏側」を語ってくれた。

英国で低予算映画を配給する事がどれだけ大変な事か、全く知られていない。他の国の同業者にそう云うと、驚かれる。

1)英国では、映画の規模にかかわらず、BBFC(映倫)を通さなければならない。米国では「無審査」映画を公開する事は可能だが、ほとんどの国では義務づけられてる。英国が他と違うのは、劇場公開時とビデオリリース時、両方で審査を受けなければならない。1本の映画で2回、しかもトンでもない額だ。全く手を加えてない同じ映画なのに、2度支払いを命じられる。料金は1分あたり8.4ポンド(約1,000円)と、更に1回120ポンド(約15000円)の手数料を要求される。想像してみてくれ、園子温の「愛のむきだし」(237分)を。劇場分とDVD分、全部で4000ポンド(約50万円)払った事になる!!!何で2度の審査が必要なのか!?全く同じ映画だぜ?!それとこれも云っとく。審査してる人間は、家で観てるんだ。金をもらって家で映画を観るなんて、全く以て羨ましいぜ!

2)小規模公開だと、劇場からの売上が非常に小さい。アメリカだと、劇場と配給会社の選り分は50/50だ。日本もそう。欧州のほとんどの国でも、45〜50%は配給会社に入る。英国はたったの25%!!!ラッキーでも35%だ!「ヒミズ」がプリンスチャールズシネマで公開した時、客の入りが悪過ぎて、ポスター2枚分のコストすらカバー出来なかったんだから!

3)英国では、80%のインディーズ系、アートハウス系劇場はたった2社でブッキング、所有されていて、自分たちのレーベルで製作された映画を、そのまま劇場に流していってる。アメリカで、これをやると違法だったと思うが、ここ英国では「普通の事」だ。彼らの作った映画をやってない時は、「プロメテウス」とかを、全英中の一般の劇場だけじゃなく、アート系でも上映してる。「プロメテウス」の様なハリウッド映画が、アート系でやる理由が全く意味不明なんだ。それだけじゃない。非営利アート劇場のバービカンでさえ「プロメテウス」を上映してるわけよ!10年前、今と全く状況が違った頃、ロンドン、英国中に、本当のインディーズ映画があちこちで上映されていたが、今じゃ影も形もない。非欧州映画を率先して公開してたインディーズ劇場の代表格ICAシネマでさえ、「ムーンライズ・キングダム」の様な一般映画を上映する有様だ。

正直言って、もういいわって感じ。インディーズ映画をメインストリームの客に届けようと頑張ったけど、観客不在、あるいは劇場確保が無理な状況で、これを続けるのは無理だ。6月に「ヒミズ」をプリンス・チャールズ劇場とカーソンレノア劇場の2カ所で公開、後者ではたった3日だけの上映で、前者では4回だけの上映で、うち2回は平日の午後1時開始だった。劇場側が映画の可能性を信じなければ、観客はその映画に興味を示すとは思えない。ましてや劇場側が宣伝する気がなければ、観客は最初っから不在で当然だ。「字幕映画だから来ない」「来ない映画に時間とカネはかけられない」では悪循環だ。自分自身も日本映画の宣伝に旗を振りまくったが、「ヒミズ」の宣伝費に2万ポンド(約250万円)を使い、やれる事は全てやったが、こう云う結果が続くと、さすがに萎える。

皮肉な事に、カーソンのブッキング担当者が、「アジア映画は何故、英国で配給されないのか?」と云うパネルに出席した。私は呼ばれなかったが、「「プロメテウス」を上映する様な映画館の責任者が出席する様なイベントじゃネエだろ?」と苦笑したけどね。この劇場で最後に観た日本映画は「TAKESHIS'」だった。それは配給がこの劇場の親会社Artificial Eye社だったからだ!

思うに、何であろうと、いつも観客は存在する。黒澤や小津、三池や北野ではない、全く知られてない日本映画を配給する為に、この会社を立ち上げ、これまでトンでもない額のカネを失ったが、コケても何度も何度も立ち上がって、世に知らしめる活動を続ける事によって得るモノもあったが、「非欧州映画」をサポートしようしない英国の劇場に問題があったわけじゃない。小劇場の市場が縮小され、それに伴い日本映画にも興味を失って来てるのだ。

単館公開なのに、広告宣伝費にバカ金をかけて、英国中に”極東から来た映画”の存在を世に問う....正直言って、こんなのもう続かないよ。

長期に渡って、トンでもない額のカネを失ったが、英国の極東アジア映画マニアには将来に渡って簡単に手に取れる時代を作って来たと自負してるが、残念なのは、これを一人で続けるのは無理だって事を証明してしまった。

残念だが、小さな配給会社と云う事を理由に、日本の配給会社からデカいタイトルを安い価格で譲ってもらおうとしたが、もう出来ないね。宣伝費だって高騰してるし、映画評論家もビデオ映画の評論なんてしやしない。もうデカい映画を買えなくなるんで、ガックリだよ。

長文、申し訳ない。この事で疲れてるんだ。

アダム・トレル マネージング・ディレクター

No comments: